DSM-5においては、死別反応といった強いストレスに伴う抑うつは、治療なく回復する可能性があるため、死別反応に関する注釈が加えられた[86]。DSM-5では「精神障害の定義」において、よくあるストレスや喪失による、愛する人との死別といった、予測可能な反応は精神障害ではないとされ、診断基準の注釈においては、死別や経済破綻、災害や重篤な病気などへの反応は、理解可能な、正常な反応である場合もあることが記述され、また死別による抑うつ症状も1-2年続くことがあるため、以前のDSM-IVによる2か月以上続いていればうつ病の可能性があるという基準をなくした[87]。以前のDSM-IV-TRでは、症状が死別によるものである場合はうつ病から除外しているが、しかしその気分が長期化し大うつ病エピソードに特徴付けられる要素がある場合は、死別を原因として抑うつエピソードに入る可能性があるとされていた[88]。

プラセボ効果を研究するアービング・カーシュ博士は、認知行動療法 (CBT) を受けなくても、そのメリットの多くを得ることができる方法として認知行動療法の読書療法を薦めており、臨床試験で良い結果が得られたものの中から2冊を紹介している[144]。『うつのセルフ・コントロール』(熊谷久代訳、創元社、1993年)、『いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法』(デビッド・D・バーンズ、星和書店、2004年)はいずれも認知行動テクニックに関する本である[144][145]。『いやな気分よ、さようなら』の臨床試験では、短期的には、標準的なCBTを実際に受けた人のほうが改善の度合いが高かったが、3ヶ月後には同等になった[144]。3年間の追跡調査から効果が持続的であることも示唆されている[144][146]。注意点は、読書療法の臨床試験は中程度のうつ病のみを対象として行われたことである[144]。軽症から中等症のうつ病であれば、代替法として妥当だが、重度のうつ病にはどのような効果を発揮するのか分かっていない[144]。
本レビューに、24,308例の参加者を対象にした79件のRCT(関連性のある比較90件)を選択した。バイアスリスクの点で研究は多様であった。 主要解析の結果、Collaborative careモデルを用いて治療を受けた成人うつ病患者のうつ病アウトカムは、短期(SMD -0.34、95%CI -0.41~-0.27;RR 1.32、95%CI 1.22~1.43)、中期(SMD -0.28、95%CI -0.41~-0.15;RR 1.31、95%CI 1.17~1.48)、長期(SMD -0.35、95%CI -0.46~-0.24;RR 1.29、95%CI 1.18~1.41)いずれにおいても、有意な改善がみとめられた。しかし、これらの有意な有益性は、超長期では示されなかった(RR 1.12、95%CI 0.98~1.27)。 また、Collaborative careモデルによる治療を受けた成人不安障害患者の不安アウトカムにおいても、短期(SMD -0.30、95%CI -0.44~-0.17;RR 1.50、95%CI 1.21~1.87)、中期(SMD -0.33、95%CI -0.47~-0.19;RR 1.41、95%CI 1.18~1.69)、長期(SMD -0.20、95%CI -0.34~-0.06;RR 1.26、95%CI 1.11~1.42)で、有意な改善が示された。超長期の不安アウトカムに対する本介入の効果を検討した比較はなかった。 薬剤使用、精神保健上の生活の質、患者満足度などの副次アウトカムにおいて有益であるというエビデンスがみられたが、身体的生活の質に対する有益性のエビデンスはみられなかった。
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